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地下水低下による地盤沈下について
投稿者:設計者 投稿日:11月12日(水)18時41分11秒

ウエルポイントによる地下水低下における地盤沈下量の計算方法を教えてください。
よろしくお願いします。

Re : 地下水位低下による地盤沈下について
投稿者:管理者(利光) 投稿日:11月13日(木)15時25分26秒

いつも頭を悩ませていることについて質問をいただきました。
実は、私自身も疑問に思っているところが多々あるからです。
土質屋さんのフォローを強く期待しつつ、簡単にご説明致します。
間違いがあったらご指摘ください。
なお、沈下量の具体的な算出式などは土質工学の教科書に記載されていますので、そちらを参照してください。
文献「根切り工事と地下水(地盤工学会)」p157~が良いかもしれません。

水位低下によって発生する地盤沈下には砂質土地盤における圧縮沈下と粘性土地盤における圧密沈下があります。
地下水位が低下すると水位低下量に相当する分だけ地盤の有効応力が増加し、地盤に載荷荷重が作用します。
この荷重によって土中の間隙水が排水され、地盤が変形し、沈下するのです。

【砂質土地盤】は透水性が良いため、土中からの排水が短時間で終了します。
したがって、即時沈下とも呼ばれています。
算出方法には次の2つがあるようです。

1. 土の間隙比が減少したものとして変形量を算出する方法
2. 土が弾性変形したものとして変形量を算出する方法

両者とも沈下量は「着目する土層厚さ」に比例しますので、土層厚さの決め方がポイントとなります。
砂質土地盤は間隙比が小さいので、沈下量は、圧密沈下のように大きくはなりません。
ただし、土層が厚いと無視できないくらいの沈下量となりますので注意が必要です。
(土層厚さの設定方法が悩みの種です。。。)

【粘性土地盤】は透水性が悪いので土中からの排水に長時間(長期間)を要します。
したがって、地盤沈下が長い間継続することになります。
粘性土は間隙比が極めて大きいので、圧密沈下量は大きなものとなります。
注意が必要です。
さて、算出方法には次の4つがあるようです。

1. 土の間隙比が減少したものとして変形量を算出する方法
2. 圧密試験結果の圧縮係数を用いて変形量を算出する方法
3. 圧密試験結果の体積圧縮係数を用いて変形量を算出する方法
4. 圧密試験結果の圧縮指数を用いて変形量を算出する方法

すべて、圧密試験結果を用いて算出する方法です。
いずれも複雑な計算となります。
実務には、どれを使っても良いでしょう。
ただし、ここのポイントは、粘性土層からの排水条件を取り違えないことです。
十分に注意してください。
排水条件は次のようになります。

1.粘性土層の直下層のみを排水する場合は「片面排水」
2.粘性土層の直上層のみを排水する場合は「片面排水」
3.粘性土層の直下層および直上層を排水する場合は「両面排水」

以上、簡単ですがお答えします。